時効というものに対して、賛否あわせて、さまざまな意見があります。
長い時間を経て、経緯や責任の所在があいまいになってしまったものは、もう不問とするのが自然だというものから、負うべき責任はどこまでいっても負うべきというものまで、実にさまざまです。
とりあえず、時効というものが制度として認められているのは事実です。借金にも、時効というものがあることをご存じでしょうか。
これもまた、長い時間を経て、経緯があいまいになってしまったものについては返済の義務がなくなります。
これが、いいか悪いかは別にして、とりあえずそういう状況にあるのは事実だといえます。
さて、この点について、「どれだけ時間が経っても、返済を約束して借りたものは、どこまでいっても返すべき!」とお考えの方はよいのですが、
時効賛成派の方になると「うまく時効を成立させれば、借金を返さなくて済むのでは?」という、よからぬ皮算用をされる方もいらっしゃいます。
その結果、お金に困ったときは、即日融資などを利用して即座にお金を手にして、後は返済せずに時効が成立するのをのんびり待とう、という結論に達してしまう可能性も出てきますね。
人間には欲がありますから、不労所得を前にして、少し、出来心が出てきてしまうのは不可抗力かもしれませんが、世の中、そう、うまくはいきません。
そのような、不毛な発想で行動する前に、借金の時効の実態について、少し確認しておきましょう。
先も述べた通り、借金に時効があるのは事実です。具体的には、時効が成立するまでの期間はおよそ5年程度であり、実質的には10年程度かかることが多いでしょう。
それくらいの期間を、時効が成立しうる条件を保ったまま過ごすことができれば、時効が成立し、返済の義務がなくなるということになります。
これを悪用し、借金を踏み倒す手段として、積極的に時効を狙いにいく方が出てくるのもやむを得ない部分ではあるでしょう。
ですが、「借金をしていたけれど、時効が成立したおかげで返さなくて済んだ!」という声を身近で聞いたことがあるという方は、果たしていらっしゃるのでしょうか。
恐らく、ほとんどの方が「そういえば、そんな声は聞いたことがない……」ということになるのではないでしょうか。
誰しもが、密かに心惹かれる時効であるにしては、少し奇妙な状況といえますよね。
それもそのはずで、借金の時効が成立して、返済の義務がなくなるなんてことは、まず起こり得ないからです。
まして現在、社会にはコンピューターというものが登場しており、以前の社会のように、何もかもを手作業で管理していた時代とは速度も精度も異なります。
そのような社会にあって、何年にも渡って、借金を返済しないまま逃げ切る、などということは、もはやほとんど不可能になっているといってよいでしょう。
時効が成立しえないもっとも大きな理由について、お気づきになられましたでしょうか。それほど特別な理由ではなく、至極、真っ当な理由です。
お金を貸し付けた側が、時効が成立するまでの長期間に渡って、指をくわえて見ているわけがないからです。
融資ビジネスを行なっている金融機関は、滞納を重ねる、悪質な利用者の対応には慣れています。
悪意のない、短期間の滞納に対しては比較的柔軟な対応を行ないますが、悪意が疑われる滞納に関しては、断固とした対応を取ることがほとんどで、時には、差し押さえといった強硬手段に訴えられることもありえます。
これによって、お金があるのに返さないといった事態は、強制的に幕引きされることがほとんどなのです。
時効はまず成立しないと思っていて間違いはありません。よからぬことを企んで、即日融資を利用するのは、極力避けてください。