貸与奨学金を借りたいのに、保証人がいない!?
不景気から回復が進まない日本経済、大学進学の費用は家計にとって大きな負担です。
特に、収入が少ないひとり親家庭や、リストラ、被災などによって、一家の収入が激減しているような状況の場合は、自己資産だけでは進学費用を工面できないという状況もおこります。
そんな中、近年、奨学金の申請件数は、右肩上がりの増加を続けています。
日本でも、長い歴史を持つ「日本学生支援機構」の奨学金制度は、貸与奨学金といって、一種の低金利ローンのような仕組みを持っています。
無利息で貸与される1種奨学金と、低金利の2種奨学金があり、学業成績などの状況でどちらかが借りられるか申し込み後に決定されます。
1種を希望するのでなければ、大部分の学生が、2種奨学金ならば、よほどひどい成績でない限りは、ほぼ、希望通り貸与を受けることができるようです。
しかし、ここで、一つの問題があります。「保証人」です。
無事に審査をパスして、実際の申し込み段階になって、書類を見てから「保証人になりたくない」または「保証人になれない」といった事態が発覚する、
といったことが、過去、多発したのです。
保証人はある程度の資力がなければなりませんし、また、保証契約に合意して、署名捺印してくれる人でなければなりません。
それらの条件さえ、クリアできないほど、家計がひっ迫しているケースも少なくない、という状況が起こったのです。
それでも進学したい人のために、「機関保証」がスタート
日本学生支援機構の場合、実質的にはローンを組むわけですから、保証人なしで貸し付けを受けることは難しいといえます。
これでは、せっかく申し込んだのに保証人の引き受け手がないばかりに、利用ができなくて進学をあきらめるといった状態になってしまうことになります。
こうした状況を踏まえて、新たに作られたのが「機関保証」という制度です。
機関保証というのは、日本学生支援機構が、学生に貸し付ける、月々の奨学金の一部を、「一旦貸し付けてから、預かる」という形で、支給しないで「保証金」として積み立てておく方式です。
保証金を差し入れることで、学生は奨学金の利用ができるようになり、奨学金を貸し付ける学生支援機構側では、
万一返済が滞ったときでも、保証金を充当することで、返済に代えることができます。
このように、保証金を差し入れることで保証人のような「人的保証」を補完する場合、一般には、保証金はあらかじめ一括で差し入れることが行われています。
しかし、大学進学の費用が、自己資金で賄えないから、借りる奨学金の保証金を一括で用意するというのは、現実的ではありません。