お金を借りるのは借金のことで、正式には金銭消費貸借契約(民法587条)が成立した時です。
この契約は、金銭を交付すること、返還を合意すること、返還時期を約束する3要件が含まれています。
もし、返還時期、つまり返済の約束がはっきり示されていない場合は催告、つまり返済を催促してから、ある程度の期間を置いてからになります(民法591条1項)。
一方、お金をもらう金銭贈与契約(民法549条)場合は、お金を渡す人の意思表示と、お金をもらう人の受諾になります。
この2つの契約で大きく違うのは、借金には返還合意がありますが、贈与にはそれが無いことで、つまりそのお金は返さなくて良いと言うことです。
友人等とお金を貸し借りした場合の例
もし、友人に「お金を貸してほしい」と頼んでお金を手渡されても、「次の月給日に返すから」などと言う合意がなければ、貸借契約は成立しません。
もし、ある時期に返すと言う要件が無い「貸してほしい」は暗黙のうちに、「お金がほしい」「あげるよ」と言う合意がなされたと解釈されても致し方ないでしょう。
しかし、お金を渡した側は「貸した」と思っているのに、受け取った側が「もらった」と思っている場合は、錯誤(民法95条)が適用され、
「貸してほしい」と言う言葉は、不当な利得(民法703条)になり、お金を返さなければなりません。
ただし、このことを受け取った側が知らなかった場合は利息(金利)をつける必要はありません(民法704条)。
例えば、100万円を貸してほしいと頼んだ場合、相手はその頼みを断りましたが、お金に困っていると思い、とりあえず1万円を渡したとします。
その時、1万円を渡した側が「これで何か食べなさい」とでも申し添えればその1万円はかなり贈与に近くなりますが、
そのようなことではなく「とりあえず今はこれしか無い」とでも言ったとすると、その1万円は貸借の意味が強くなります。
結論的には、お金を借りるということは、そのお金をある時期には返すという合意があってはじめて成立するのです。
そして、一般的には貸し手と借り手、金額、返済時期、さらには金利が明示された、
金銭消費貸借契約が、貸す側と借りる側の間で合意されるのが、お金を借りることです。