総量規制とは?
消費者金融の取引を規制する法律、「改正貸金業法」が平成22年の6月から完全施行されるとともに、新しくスタートしたのが総量規制です。
そのほかにも、違法な無許可営業の厳罰化や、金利の上限引き下げにより、法定金利が貸付額に応じて15~20%まで、と、確定されたことなど、様々な新しいルールがスタートしています。
これらは、いずれも、違法な闇金融業者によって、経済破綻や多重債務に陥ることがないようにという考えで制定されたものですが、
そのなかでも、借り手である利用者にとって、最も気になる改正ポイントが「総量規制」だといえるでしょう。
なぜなら、総量規制の制定によって、これまで、簡単に済まされていた審査が厳格されて、非常に複雑になり、その分、審査を通過できないケースが増えてきたからです。
また、これまで問題なく貸し付けを受けていた専業主婦や派遣労働の方、無職の方、高齢の年金生活者の方などは、審査を通過することはかなり困難となりました。
なぜ、総量規制によって、こんな事態が起こるのか、次でご説明しましょう。
総量規制で、キャッシングに限度額が
これまで、キャッシングの限度額は、簡単に言えば、貸す側の消費者金融のさじ加減で決められていました。
また、キャッシングの取引先が、複数ヶ所にわたっていても、個々の取引先同志は、互いに他社の取引について、把握していないことがほとんどでした。
ですから、収入に見合わず高額の貸し付けを受けていたり、返済能力の限界を超えた借り入れのため、経済的に破たんする事例が多かったのだとも言えます。
そこで、今回の貸金業法改正により、「年収の三分の一を超える貸し付けを禁止する」という規制を行いました。これが総量規制です。
法律で禁止されている限度額を超えて貸し付けを行った場合は、超えた分については取引そのものが無効とされます。
総量規制の限度額を計算する基準になるのは「年収」です。
従って、個人の収入がない人については、計算の基礎になる金額が、ゼロということですから、自動的に、限度額もゼロ、すなわち貸付できない、ということになってしまうのです。
専業主婦の場合は、配偶者の同意があれば、借りられる
ただし、この総量規制にも例外があります。
専業主婦(または主夫)であって、個人の収入がゼロでも、配偶者の収入と合算して、その三分の一の範囲であれば、借り入れが可能、という決まりもあるのです。
これを「夫婦合算」と言います。例えば、ご主人の年収が300万円だったとすると、奥様の収入がゼロであっても、夫婦で100万円の限度額が利用できるということです。
もちろん、夫婦合算の場合、勝手に奥様が手続きを取ることはできません。必ずご主人の合意が必要になります。
また、ご主人が単独で、既に消費者金融から借り入れを行っている場合は、その分は限度額から差し引かれます。