同じ会社が借りているのに、「法人の融資」と「個人の融資」がある、ってどういうこと?
不況のあおりをくらって、倒産する会社がニュースに登場することも、相変わらず多いですね。
そんな中、「計画倒産で、資産隠し、社長に会社の資金○億円を融資」とか、「社長個人の借金×××万円を、会社の資金から返済」などの記載がニュースで報道されるのを見聞きします。
あれ?ちょっと待って?会社の資金を、社長に貸すとか、会社の資金で個人の借金を返すって、どういうこと?
社長は、会社の持ち主みたいなもんなんだから、会社の資金も社長のお金から出てるんじゃないの?
なんて疑問を感じる方もいらっしゃるようです。
確かに、株式会社であっても、多くの場合、会社の資本金として社長やその親族が株を所有する形態は珍しくありませんし、
個人事業の場合は、事業主のお金が、事業資金になっているのが当たり前です。
会社となると、どのような違いがあるのでしょうか?
「法人」と「個人」の違いってナニ?
そもそも、「法人」とはいったい何なのでしょうか?
一般の個人=人は、法律上では「自然人」と規定されて、生まれながらに人格を持ち、それに伴って、人権が保護されるという法律上の規定に、自動的に当てはまります。
ちょっと文学的な表現をすれば、「人は生まれながらに人として、人格を持ち、保護されるべき人権を持っている」ということです。
これに対して、法人は、「法律上、人格を与えられた団体」ということです。
会社以外にも、社会福祉法人、特定非営利活動法人、学校法人など、いくつかの種類があり、法人登記という手続きを経て、初めて「法人格」を付与されるという決まりになっています。
ですから、会社の社長という「個人」と、会社という「法人」は、それぞれ、別人格として扱われるということなのです。
別人格ですから、それぞれ、個別にお金を借りることもできるし、税金の請求も別々になります。
「会社は借金してるけど、社長個人はしてない」という場合や、その反対もあるということです。
ですから、会社のお金を個人が着服したような場合は、会社という法人が持っているものを、社長という自然人が着服、横領した、ということになり、
意味合い的には盗難のような感じになります。
ただし、会社には会社法という別の法律もありますから、これに照らし合わせて、ことの軽重を図るということになっていきます。