キャッシングの申し込みに嘘をついたら?
消費者金融や、貸金業法が改正されて以降導入された、「総量規制」によって、厳しくなったのが借り入れ申し込み時の審査だといえます。
これまでは、自己申告で比較的簡単に済まされた、勤務先や年収に関わる項目が以前よりも厳しくなりました。
総量規制は年収の三分の一以上を貸し付けてはいけない、という規制ですから、年収額から自動的に、借り入れることができる金額が決まってしまいます。
年収が急激に上がることは考えにくいので、借り入れ金額を増やすのは簡単ではありません。
勤務先についても、勤続年数などまで調べられて、どのような雇用形態なのか?も厳正に審査される傾向になっています。
このために、派遣労働者の方や専業主婦の場合は、かなり借り入れが厳しくなりました。
こんな背景からか、申し込みの時に、事実と違うことを申告するケースも増えているようです。
しかし、これにはデメリットばかりか、非常な危険のあることだという認識はされていないように思われます。
虚偽の申告で入金を受けると、「詐欺」!?
消費者金融や、クレジットカードのキャッシング申込みに、ウソの内容を書いて申し込んで、まんまと、お金を借りることに成功した場合。
一見「得をした」と思われそうですが、これは、刑法的に言えば「詐欺」です。法律では詐欺と認められる条件(構成要件)を、
・だますつもりで嘘をつき
・その結果、相手が騙されて
・金品の受け渡しが行われた
の3点がそろっていること、と決めています。
嘘をついてキャッシングの申し込みを行い、その結果、ウソを信じた相手からお金を受け取ったら、これは、完全に詐欺罪に該当してしまいます。
言い訳は通用しません!厳しい、ウソの代償
「騙すなんて、人聞きの悪い。ちょっと、数字を変えただけ。」というのは通りません。
事実と異なることを提示したということは、お金をより多く引き出す目的で、ウソを自覚しながら行っていることですから、「騙すつもり」と判断されます。
「振込をしてもらっただけで、現金じゃなかった。だから金品の受け渡しには該当しないんじゃないか?」というのも通りません。
あなた名義の口座に振り込まれた段階で、あなたはそのお金を自由にできる状態になります。
詐欺は犯罪です。悪質とみなされれば、刑事事件として起訴や逮捕の可能性もあります。
また、ウソをついて借りたお金は損害賠償請求の対象として、損害金を上乗せした金額で請求を受けることにもなります。
現在借りているお金の一括返済や、取引停止も!
運よく、犯罪とか損害賠償請求の対象にされなくても、信用を著しく傷つけることには変わりがありません。
もし、現在取引中で借りているお金があるときは、残金の一括返済を請求されたり、今後の貸し付けを一切停止する、といった処置を取られる可能性もあります。
キャッシングなどの取引に関する情報は、信用保証協会というところで、「信用保証情報」として、個々人の過去の取引に至るまで記録が残されるようになっています。
もしも、ウソを申告して借りたことがある、などの経歴が発生すれば、それも当然信用保証情報に記録されます。
こうした、貸す側にとって思わしくない情報は「事故」と呼ばれて、いわば減点対象になり、いわゆる「ブラックリスト入り」することになるのです。
そうなれば、以降、長期にわたって新たな取引はできなくなる、ということにつながる危険性もはらんでいます。
犯罪という自覚がなくても、法律に触れる行為を行えば、その結果は法律に合わせて返ってくるということです。
仮に、発覚せずに取引が経過したとしても、新たな借り入れの申し込みや、他社との取引開始の時にも、同じ嘘を通さなければならなくなる場合も考えられます。
これも、かなりリスキーであることは変わりありません。
このように、キャッシングの申し込みにウソを並べることには、利益がありません。事実だけを申告することをお勧めします。